当社の旅行部門「ハミングツアー」ではツアー受付で俗に言う「コールセンター」を設けていますが、その業務をそっくり自宅で出来るようにしたのが、「在宅電話オペレーター」の職種です。
システムは至って単純で、お客様は決められたフリーダイヤルなどの番号(当社はナビアクセス)に電話をかけてもらい、予め決められたスケジュールで、その電話の受付先を割り振ります。勿論、休日や休憩、自分の用事も加味されます。
在宅勤務者は自動で自宅に接続された電話に出て、当社から貸し出したノートパソコンで、旅行受付画面で操作する…と言う感じなのですが、システムは4M以上のブロードバンド環境とブラウザだけ有れば成立します。
特筆すべきは汎用のシステムなので低予算でシステム構築が出来るのが大きな特徴となっています。ちなみに、当社は社内サーバーにフレッツグループアクセスを利用してVPN(バーチャルプライベートネットワークと言うらしい!?)要は仮想のLANを敷設する単純なシステムで、コストも1カ所あたり月700円と激安で、フレッツADSLの回線料を足しても、月3,000円もあれば充分構築できて、コスト面では余りある大きな効果です。
なぜ私がこのような一見面倒な方法を考えたと言えば、旅行業界の常識では「若い労働力を使い捨てにしている」という現実が有るからです。旅行業界では、以前から就職希望の人気業種であることを良いことに、新卒者を大量雇用して、どんどん辞めさせて、若くて丈夫でローコストの労働力を常に確保しています。結局働く若者のキャリア醸成は後回しになっている事実があります。
特に女性は結婚、出産で仕事を離れたら最後。格好の「労働力の新陳代謝」とばかりに、二度と正社員での復活が厳しいのが現状です。私は、特に結婚、出産、子育てとライフスタイルが変化していっても、常に会社と接点を持つことによって、キャリアを中断しなくて良いように、身の丈以上の投資を行ってこのシステムを開発したのです。
実際、電話でお申込下さるお客様は、さも会社に掛けているように受付が出来ます。(たまに赤ちゃんの鳴き声が入ったりしますが、そこは勘弁してもらいます)会社は育てた社員のキャリアを無駄なく継続して更に質の高い人材に育てる事が出来ます。在宅社員はライフスタイルに応じて勤務を自在に変更できます。
ただしこの素晴らしいシステムにもネックがあります。
まず第一に、在宅勤務は「ハローワークで募集できない」と言う事実!
これは絶対におかしいです。
営業の合間に抜け出してパチンコしている人だっているのですから、「在宅だと勤務実態がつかめないから」という厚生労働省の言い分には首をかしげます。そして第二に、労働保険の適用が難しくなること!これも逃げ道は色々考えましたが、勤務実態の理由と同じで、「加入の要件を満たさない」という判断になるのです。
最後の問題は社員のモチベーションの問題です。
これが一番根の深い問題で、我が社では定期的に会社に顔を出してもらって、その溝を埋めるべく試行錯誤の努力を続けています。とは言っても、メリットはあまりに大きく、これからテレワークという働き方は加速度的に増えていくと思われます。
それにしてもこの使えない法律は早期に改正すべきでしょう。
働く者のための法律がじゃまになっている現実です。これは立法府である国会の怠慢でしょうね。今後、様々な業界団体を通してこの問題を提起していきたいと思います。
私の政策公約に光ファイバー網の普及の促進という項目が4年前から存在していますが、どうもその必要性を感じている議員さん達が少ないように感じます。情報の発信による地域ブランド力強化、販売チャネルの多様化、様々な働き方へのアシスト、遠隔地医療や在宅医療など地域医療への貢献…どれを取っても高速道路や空港建設より小さい投資で大きな効果のある投資だと思いませんか?